1. どのような装置ですか?

チャンバー内の圧力を最大で約10-4 Paまで下げることができる高真空排気装置です。主に、カルコゲナイドガラスの合成に用いています。カルコゲナイドガラスは、硫黄(S)やセレン(Se)、テルル(Te)を主成分とするガラスです。これらのガラスは酸素(O)に非常に敏感であるため、わずかな酸素でも組成や物性が変わっています。そこで、本装置を用いて、原料粉末を石英管に真空封入することで、酸素などの不純物を極力排除した環境でガラスを作製できます。高純度なカルコゲナイドガラスを得るために欠かせない装置です。

 

2. どのような原理ですか?

初めにチャンバー内の圧力を、油回転ポンプ(RP: rotary pump)で中真空10-2~10-1 Paにします。これは高真空ポンプが正常に動作できる真空領域にするためです。続いて、油拡散ポンプ(DP: diffusion pump)を起動します。RPは補助ポンプとして機能しながら、DPによって高真空10-1~10-5 Paに達します。

 

・油回転ポンプ
低〜中真空を得るために使われる汎用的な真空ポンプです。回転する羽根でチャンバー内の容積を変化させ、気体を吸引・圧縮して排気することで圧力を下げています。使用される油は、駆動部の摩擦の低減や気密性を保つだけでなく、圧縮過程で輸送される気体の体積を排気時に数桁(5桁程度)小さくするのにも役立っています。
・油拡散ポンプ
高真空を得るために使用される真空ポンプです。ヒーターで加熱し気化された油蒸気が下方へ向かう超音速蒸気噴流を形成しており、流入した気体分子は運動量を受けて同じ方向に輸送されます。蒸気は壁面に衝突すると液化し再び底部に戻って循環しますが、気体分子はポンプ下部の排気口から補助ポンプによって排気されます。
・熱陰極電離真空計


高真空領域(~10-2 Pa以下)の圧力を高精度に測定できる真空計です。この装置では、フィラメントから熱電子が放出され、チャンバー内の気体分子と衝突してイオン化を引き起こします。放出された電子はグリッド(電極)に引き寄せられながら移動し、その過程で気体分子を電離します。生成された正イオンはコレクタに回収され、そのときに流れるイオン電流の大きさから圧力(真空度)を推定します。この方式は非常に感度が高く、微量の気体分子の存在も検出可能です。ただし、真空度が十分に下がっていない状態(~10-2 Paに達していない状態)で使用すると、フィラメントが酸化されやすくなります。これにより、フィラメントの損傷や断線を引き起こすおそれがあるため、使用には十分な注意が必要です。

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