1. どのような装置ですか?

電気を流す半導体のキャリアが電子(n型)か正孔(p型)かを判別する目的で、この装置を自作しました。半導体試料に温度差を与えると、その両端に電位差(熱起電力)が生じます。これをゼーベック効果といい、物質によって熱起電力の大きさが異なります。熱起電力の大きさは、試料のキャリア密度分布によって決まるので、おおよそのキャリア密度も分かります。
2. どのような原理ですか?
半導体を加熱すると、キャリア(負の電荷をもつ電子、または正の電荷をもつ正孔)が生成されます。一方、冷却側ではキャリアの発生がほとんど起こらないため、キャリア密度のバランスが崩れ、加熱側から冷却側にキャリアが拡散します。この拡散は、キャリアの分布が平衡に達するまで続きます。このとき、試料の両端に電位差Vが生じます。また、この時の両端の温度差をTとすると、「V = sΔT」の比例関係があります。ここで、比例定数sをゼーベック係数と呼びます。キャリアが電子の場合はsが負に、正孔の場合はsが正になります。したがって、ゼーベック係数の符号を測定することで、半導体中を流れるキャリアの種類を判別することが可能です。
ガラスのように構造がランダムなアモルファス物質では、キャリアの動きが散逸的であるため、従来のホール効果測定によるキャリアの判別が困難な場合が多くあります。しかし、ゼーベック係数は熱起電力という測定しやすい物理量からキャリアの種類が判別できるために、ガラス試料の場合においても有効な評価手法です。
当研究室では、2つのペルチェ素子を用いて試料に温度差を発生させ、その温度を熱電対で読み取りながら、タングステン針をプローバーとして電位差(熱起電力)を読み取っています。