1. どのような装置ですか?

ガラスの研磨に使用する研磨装置として、固定砥粒加工法を用いた研磨機と、遊離砥粒加工法を用いた自動研磨機の2つがあります。後者の自動研磨機は、その名の通り試料の自動研磨が可能であり、長時間の研磨を他の作業と並行しながらおこなうことができます。

 

2. どのような原理ですか?

遊離砥粒加工法

研究室で使用する自動研磨機は遊離砥粒加工法にて研磨をおこないます。研磨剤(スラリー)の作用によって研磨する方法です[1]。通常、研磨は大きく2段階に分けられます。粗い研磨であるラッピングと精密な研磨であるポリシングです。これらの加工時に用いられる研磨剤は異なった作用を持って加工能率を高めます。

 

ラッピング

加工能率の高低は砥粒による突き出し高さが実質的な切込み深さとなるため、砥粒の平均的な大きさではなくその粒度分布のばらつき程度に影響を受けます。大きな砥粒を用いると加工能率が高まるのは、大きな砥粒になるほど粒度分布のばらつきが大きくなるからです。使用する砥粒は『炭化珪素系(SiC)砥粒』です。高硬度で鋭利なコーナーを有するため、アルミナ系砥粒に比べ加工面粗さは大きいものの加工能率に優れる特徴を持っており、機械的作用によって研磨されます。

 

ポリシング

ポリシングにおける研磨剤として、セリア(CeO2)は高い加工能率と良好な仕上げ面粗さを容易に得ることができることから頻繁に使用されています。しかしガラスよりもモース硬度の低いセリアがなぜ研磨剤として機能できているのでしょうか?それは上記のラッピングで説明した機械的作用以上に、化学的作用による影響が大きいからです。セリアとガラスとの化学反応についてはいくつかの説があります。以下ではシリケートガラスとセリアにおけるシミュレーションをもとに考えられる一例を、順を追って紹介します[2]。

@ガラス研磨用のセリアには多くのランタン(La)が固溶されています。それが酸素空孔を生成し、周りの原子との相互作用が増加することでエネルギー的に安定する砥粒中心に酸素原子が拡散します。
A酸素空孔が表面近傍に局在化し、セリア砥粒の表面に3価のCeイオンが露出します。
B露出した3価のCeイオンが、ガラス表面の(仮)Si-O結合の反結合性軌道に電子を供与することで、Si-O結合が弱められます。3価のCe原子はガラス表面の結合に電子を供与したことで+4価となります。つまりセリウムは3価と4価の両方の状態を取れるイオン種です。
C3価のCeイオンによって弱められたSi-O結合上で水分子(H2O)が解離することで、
OH?はSi原子に、H?はO原子と結合します。つまりSi-O-Si結合がSi-OH HO-Siの解離反応を起こしてガラス表面が軟らかくなります。
以上の化学反応によって、ガラス表面に形成された軟質な水和層を、砥粒や研磨パッドが除去することで加工が進行すると考えられています。

 

[1]榎本 俊之, 「ガラス研磨加工」NEW GLASS (Vol. 25, No.1), (2010)
[2] 尾澤 他, 「CeO2砥粒によるWet環境下でのSiO2の研磨加工シミュレーション」表面

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