• 卒業研究だけを終えて,社会に出ても活躍できますか?
  • できないことはないと思いますが,必ずしも十分ではないでしょう。

景気が良いときは表に現れませんが,不景気な世の中になると就職活動に大変時間がかります。3年生の1月(インターンシップと称される活動を含む)ごろから,4年生の夏から秋までかかることもあります。そうすると,卒業論文研究は実質,秋以降のたった数ヶ月しか実施できません。その状況ではまともな卒業論文研究をやったとはみなしてもらえません。


博士前期課程(修士課程)あるいは,さらに博士後期課程に進学し,あと少し研究というものの本質を見て知ってからでも遅くないかもしれません。

  • どのような研究室を選んだら良いでしょうか?
  • 将来を考えて,あえて厳しい研究室を選ぶ方法もあります。

一般に,教員や先輩がやさしく,楽しそうで和気あいあいとしている研究室を選んだらよいと思われがちですが,(長い人生のうち)たった数年の学部・大学院生活を送る上での落とし穴もいくつか存在します。研究室が見かけ上,優しかったり,楽しそうだったりするのは,研究・教育とは別の部分で強調されるところです。


個人の研究活動(複数による共同研究活動も同義)は,本来は孤独な作業です。社会で活躍する有用な人物を長年にわたって多数輩出している研究室では古来から,普段の研究室の生活において,たとえ教員や先輩が優しかったり,親しみやすかったりしても,いざ研究になれば厳しく,土壇場(ゼミ・卒論・修論・博論・学会発表・原著論文執筆・研究費申請書執筆)では苦しいことが多いと決まっています。研究室において,この厳しく苦しい部分がなければ決して「本物の実力」は付きません。でも身に着いたゆるぎない実力は一生その人のベースになるものです。研究に関しては厳しいが,研究室の普段の生活では大きなストレスを感じない研究室を選ぶことが重要だと思います。特に後者の部分では,担当教員の性格をよくみることが大切です。

  • 研究室を選ぶ上でのポイントはありますか?
  • ホームページなどで公開されている研究室の最新データを見ておよその目星をつけ,実際に担当教員や大学院生とよく話した上で,自分の決断で選ぶことです。

事前に研究室を訪問して,教員とよく話をして,その教員が自分にあう人物かどうかを見極めることが良いと思います。研究室は一つのコミュニティと言えるので,研究内容・テーマとのマッチングともあわせて,教員との相性は極めて重要になります。また,研究室を訪問した機会には教員だけでなく,大学院生・学部生とも話をした方がよいでしょう。大学院生が極端に少ない研究室,逆に,極端に多い研究室,大学院生が元気な研究室,あるいは大学院生が大学に出てきていない研究室には必ずそれなりの理由があります。


ポイントその2は,その研究室全体の最近の業績を見ることです。よく知られたことですが,大学教員(研究指導教員)の仕事は,大雑把に言うと,教育と研究です。研究室で普段から,きちんと教育と研究を行っていないと業績(原著論文発表,(企業等との)共同研究,プロジェクト研究,国内・国際学会発表)が積み重なっていきません。真剣に日々,研究活動を行っている研究室ではコンスタントに年に1-2報以上の原著論文を発表しています。テーマの都合上,稀に原著論文等が数年間出ないこともあり得ますが,4-5年間も連続して,学生を主体とする原著論文が出ていないことは,納税者から国立大学の教員に求められている本来の使命からかけ離れています。


ポイントその3は,研究費に関する情報を見ることです。最近しばしば報道されていることですが,年々,文部科学省からの運営費交付金が実質的に削減されているために,もはや大学から配分される校費だけでは卒業・修了研究を必要十分に行うことができません(研究費の不足はその2とも関わってくることです)。したがって,卒業論文研究,修士論文研究,博士論文研究を「きちんと,適切に」実施するためには,教員が自ら外部資金・競争的資金を獲得する必要があります。ホームページ等で各研究室の外部資金・競争的資金に関するデータや記述(当ホームページでは記載していませんが、たずねられれば正直にお答えします),公表された原著論文の著者構成や末尾の謝辞等を見れば,その研究室が外部資金等を受け入れながら,腰を据えたきちんとした研究ができているかどうかがすぐに分かります。


学生や教員が日常どれだけ一生懸命やっているかを見てみましょう。それなりにアクティビティーの高い研究室ではいつも,研究室内あるいは実験室内には誰かがいて,先輩が後輩をぐんぐん引っ張りながら,後輩は先輩に負けじと張り合いながら,頑張って自らの研究テーマに取り組んでいるものです。教員とコンタクトが取りやすいか,フランクに話せるかどうかも研究室選びの重要な要素と言えるでしょう。


良い人材はランダムには輩出されないと言われます。特定の研究室における良い伝統・ポリシーが確実に,着実に後輩へと受け継がれていくからです。私たちはそのような研究室を目指しています。意欲があり,向上心が高い学生ならば,(仮)配属先となる研究室を決めることはかなり重要な選択(私もかつてそうでした)で迷うものです。自分なりによくよく考えて決めたらよいと思います。やはり「百聞は一見にしかず」です。研究室で取り組む卒論・修論・博論の研究テーマの内容もそうですが,入ったコミュニティやその周辺でどんな人に出会うかどうかも,その先の人生を方向付ける上で重要です。

  • 厳しい研究室で過ごす方が良いと言われているのはなぜですか?
  • 間違いなく自分の将来に資するからです。

研究室を選ぶ時期がやって来たら(もちろん,それ以前に考えておく方が賢明ですが),是非,自分の将来をよく考えてみてください。予期せぬ災害があったり,景気の波が大きかったり,私たちは将来が不透明な時代に生きています。そんなときに最も頼りになるものは自分の力(頭)です。若いうちに積極的に厳しい環境に身を置いて,自分を鍛えることが最大の防御策になります。私たちはそのような向上心・意欲ある学生を全力で応援します。社会人になってから厳しい状況に陥らないように...

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