研究指導について

学部生
 卒業論文では,具体的に何を学んで欲しいか,どんな予備実験を行えばよいかを指示して,卒業論文執筆・発表につながるように指導します。指導教員は,これまでの経験に基づいて,ベスト(ベター)ソリューションを与えられるように努力します。学生には研究の背景とあわせて,まずは指示された手順と,卒業論文テーマの意図を理解してもらいます。実際に研究を進めていくと,予期しない困難やボトルネックに入り込むことがあります。そのときは,合理的な範囲内で適宜軌道修正をしていきます。また,指導教員の指示に絶対にしたがってくださいと言うつもりはないので,自らの考え・意見があれば遠慮無く申し出てください。学問・学術の場や,普遍の科学法則のもとでは教員も学生も立場に関係なく対等に議論することができます。ただし,その際に社会人としての礼儀作法を忘れる,怠ると人間関係がすぐに破綻します。
 ひとつの達成目標としては,修士課程に進学が決まっている学生は,卒論の成果を当該年度(3月)の国内学会(投稿は1月あたりが普通)で発表できるようになる,が挙げられます。ただし,結果が当初の思い通りにならないことはよくありますし,だからと言って,卒論論文に価値がないということは全くありません。それはテーマ設定が適切でなかったことが理由かも知れないので,指導教員の責任の範疇です。誰もが知らないこと,成果に価値や意義を認められるような内容に,学生なりに真剣に解決を試みたプロセスを私たちは評価します。
博士前期課程学生(修士)
 学部から引き続いて2年間で実施する修士研究は,卒業論文と比べると時間的な余裕があります。しかしながら,のんびり構えても良いと考えるのではなくて,学生自身でどのように取り組むか,タイムスケジュールなど,主体的に考えなければならない部分が大幅に増えることになります。卒業論文と比べて,修士研究で求められていることは質・量ともに大きく異なります。
 修士論文研究では,未踏領域に多少踏み込むわけですから,学生自身にもどのように進めていくかを考えてもらうことになります。途中,指導教員もどうやればいいか分からない場面も出てきます。指導教員も常に努力しますが,修士課程の最後の方になれば,「自分の修士研究テーマについては指導教員に教えている」くらいが理想的だと思います。指導教員としても,良心にしたがって,自身が過去に得た経験を学生に教えることを惜しみません。
 修士研究テーマとして,2年間頑張れば何とか解決できると思われる程度の「旬」な課題を与えることになります。大まかな方針,理解して置いて欲しい勉強のポイントは都度ごとに指示します。その上で,基本的に学生自身でテーマをやってもらうことになります。ただし,定期的な進捗報告は必要です。ゼミでの発表とは別に,週に一回くらいがベストだと思います。特に,問題が発生しているときは速やかに報告してください。また,困ったことがあれば遠慮なく相談に来てください。
 研究費(原資)がある限り,実験室等の環境を整備することは指導教員の役割です。物品・試薬などが入用ならば遠慮せずに速やかに伝えてください。やはり,「Time is money」は真実です。テーマに対する成果が蓄積されて行く中で,学位論文,および学位論文発表としてどのようにまとめていくかについては,基本的に学生自身で考えてくれることを望んでいます。そして,そのことに関する議論の時間は惜しみません。
博士後期課程学生
 博士論文で対象とする学術課題は,指導教員が与えることも可能ですが,できれば学生からの提案を期待しています。基本的なスタンスは修士に対する指導と同じですが,研究者・高度技術者を目指す者として,自分でいろいろなことをマネージして欲しいと期待します。ドクターになれば,研究課題を決めることは生易しいことではないので,学生が頑張れば解決できる課題を適切に設定することはなかなか出来ないのが現実です。このあたりは早いうちに指導教員と議論しましょう。恐らく,指導教員も最初のうちはどうやればわからないことが多いと思います。修士までの蓄積を活かしながらできるところからやってみる,そのための議論は重要です。目標が決まれば,その後は自分でぐんぐん進めてもらうことを期待しています。
 環境整備に関するところは修士研究で述べたことと同じです。3年間も時間があるので,誰かに言われたことでは無く,自分でやろうと決めたことを徹底的にやってくれることを願っています。その方が,断然面白いはずです。そして,博士課程の学生に対しても,結果をどのようにまとめるか,どの学会で発表するか,どの雑誌に投稿するかについて,指導教員が具体的な指導をできる余地はあると思います。 将来,研究者として奉職することを考えている学生にとっては,発表論文の本数は当然重要ですが,博士課程在籍中にジャンクな論文誌に投稿して闇雲に本数を稼ぐよりも,世の中の人に読まれる,長く引用される「良い」論文を書いて欲しいと思っています。博士課程を修了した後に,コンスタントに論文を出せる実力を養う方が将来のためにはるかに重要です。
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