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私たちの生活を支えている便利な道具・工業製品は、すべて適切な材料の組み合わせによって作られています。
身近に利用されている機能性材料に目を向けて見ましょう。例えば電気自動車ならば,容量や充放電特性に優れたバッテリー(電池)が必要です。電気を使って車輪を回転させるためのモーターには、高温でも性能を発揮する磁石が求められます。ボディには、衝突したときに中の人を守るための強さが必要です。金属が使われていますが、燃費をよくするために出来るだけ軽い材料が開発されています。窓には透明な材料が必要なので、強化ガラスや、割れても飛散しないガラスが使われています。
このように、普段はあまり意識しない材料ですが、金属・セラミック・プラスチックなど多様な素材の中から,もっとも適切な物質が選択され、その能力を発揮しているのです。あなたがホームページを見ているパソコン・モバイル機器にも、ディスプレイやマイクロプロセッサ・メモリなどに多種多様な材料が使われています。
私たちの学科は、未来に新しいモノを作り出すための、優れた機能を有する新しい材料を研究しています。材料を理解するためには、種々の原子が形作る“ミクロな構造”について考えることが必要になります。
物質を構成する原子は、結晶構造と呼ばれる周期的な並び方をしています。例えば鉄ならば、下の図のように原子が体心立方構造で並んでいます。ただし純粋な鉄は、錆びやすく、軟らかいので、実際に使われることはほとんどありません。
鉄にクロムを加えると、下の図のように鉄の原子が部分的にクロムに置き換わります。これによって、鉄は錆びにくい “ステンレス” になります。キッチンの流し台やスプーンもステンレスでできています。
また、鉄に炭素を適度に加えると硬くなり、鋼(ハガネ、英語ではスチール)と呼ばれます。鋼は、車のボディや包丁など広く使われ、種類も多様です。鋼の中の炭素は、例えば下の図のように鉄原子の隙間に入ったりしています。
ステンレスや鋼のように、金属を他の元素と混ぜたものを合金と呼びます。実用化されている合金のほとんどは3種類以上の元素を組み合わせて作られています。地上には元素は100種類以上あるので、合金を作るときの組み合わせ方は無限と言えます。さらに、セラミックスや有機物も重要な材料であり、それぞれの特徴を活かして、よい材料を作るのが材料工学です。
ここから、大学での実験の内容に少し触れてみましょう。
倍率の高い電子顕微鏡を使えば,並んでいる原子を実際に観察することができます。下の写真は、透過型電子顕微鏡で見たチタン合金の写真です。直径1 ナノメートル以下の原子が配列している様子が確認できます。
もう少し顕微鏡の倍率を下げて広い視野を観察すると、原子配列や組成の異なる領域が模様のように見えます。規則的な原子の並び方を結晶構造と呼ぶのに対し,複数の結晶が集まってつくる模様のようなものを組織と呼びます。
材料の性質は、元素の組み合わせや割合(化学組成)だけによって単純に決まるというものではなく、その並び方(結晶構造や組織)も重要となります。例えば料理でケーキを作るときには、同じ材料を使っても、焼くときの温度や時間でケーキの外見や食感が違ってきますね。元素を組み合わせて材料を作るときにも、機能を発揮するための最適な構造にすることが必要であり、そのための新しい方法(プロセス)を見つけないといけないのです。
実験室において元素を組み合わせて新しい材料を作ったら、その性質を調べることになります。自分が作った新材料が、既に存在する物質よりも優れているならば、生活に役立っている製品の性能を飛躍的に向上できるかもしれません。
材料の特性を評価する際には、物理的な原理を利用することになります。例えば高い強度の材料を作ったときには、実際に材料に力を加えてみて、変形や破壊を観察します(力学試験)。磁石ならば磁気的特性を調べ、光材料ならば光学特性を調査します。
(例)ガラス材料に力を加えながら光学特性を評価
機能材料工学科では、いろいろな分野を得意とする教員が材料の研究を行っています。それぞれの研究室の研究テーマを、ぜひチェックしてください。
また、自分で材料を開発するために必要な知識は、本学科の授業で身につけることになります。どのような授業があるかは、カリキュラムマップを御覧ください。
現在、わたしたちは環境・資源・エネルギーに関する地球規模の課題に直面しています。持続可能な社会の構築は、学問分野や職業を問わず、みんなが忘れてはならない課題でしょう。そのような中で、材料工学は大きく貢献できる分野です。
例えば、エネルギーを効率良く使うためには、発電や送電・蓄電を行うための新しい機能材料が不可欠です。また、料理をすれば生ごみが出るのと同じで、鉱物資源から材料を作ったり、火力発電や原子力発電でエネルギーを作ったりする際には不要物が出ます。「廃棄物をどのように安全に処理するか」あるいは「有用な成分を効率良くリサイクルし機能材料化につなげていくためにはどうするか」などという問題も、今後の皆さんが取り組むべき課題かもしれません。
多くの産業分野での未解決課題を解決する基礎は機能材料工学科で学ぶことができます。本学科の長い歴史と伝統に、皆さんのフレッシュな若い力を組み合わせて、イノベーションを進めていきましょう。
興味のある方は,
ぜひ研究室でのテーマを覗いてみてください
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